記事一覧

2015年04月14日

 機械のアラームのような音がする。
 最初は幻聴かと思って焦ったが、3日前くらいから決まった時間に鳴っているので、これはきっと定期的な幻聴……ではなく、目覚まし時計なのだ。
 それも朝と夜に鳴る、アナログなタイプの目覚まし時計。
 壁に耳をあてると、ややハッキリする。
 おそらくは隣か、下か、斜め下か……ここまでいくと、おそらくでもなんでもないが、とにかく、どこかの部屋から音がする。たっぷりと20分は鳴っている。
 ひとが死んでいるのかもしれない。
 旅行ならいいけれど。
 電池が切れなければいいけれど。
 電池が切れたら静かに腐っていくしかないから、それは悲しいし。
 そうでもないか。
 アラームが鳴っても、誰も通報しなかったらアラームが鳴っている横で腐っていくだけだから。
 悲しいのは静かに腐るのと同じか、それ以上かもしれない。
 悲しいって誰が。
 悲しいのが当然みたいに書いてみたけど、別に悲しくもないのか。
 隣の部屋に死体があったら嫌だ、気持ち悪いなって、それだけ。