教室の中心に洗われていない体操着や、使い古された教科書類、鞄など様々なものが積み上げられている。以前の3年生が使っていたものだ。卒業式から休みの間中放置されていたようで、汗のような匂いがきつく漂っている。
新しい教室で、新しいクラスメート達と共にそれを見つめる。誰も何もしようとしない。
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そこで知り合った同級生の女の子2人と小さめのホールへ。4人で構成されているバンドがステージにおりカントリー調の曲を軽快に演奏しているが室内は明るくガラガラ。客は10人程しかいない。
女の子2人には通訳のような、ヘッドセットをつけたガイドのような外国人がついた。ふたりと一緒に来た自分にはつかない。
女の子はなにかをその通訳に話し、それに外国人は答えるのだが、その声が演奏と同じように場内のスピーカーを通して聞こえる。その声は演奏が聞こえないほどに大きい。
片方の外国人がひとしきりしゃべり終わって、ようやく演奏だけが聞こえるようになったかと思ったら、今度はもう一人が喋りだした。とても聴けたものじゃない。
まずドラムが手を止めた。それに伴ってアコギを持って歌っている女性シンガー以外は手を止めていく。
ペラペラと流暢に話す外国人と、ギターソロになった女性シンガーの歌声だけがしばらく響く。
やがて諦めたように、曲の途中で演奏が止んだ。外国人はそれを察してかようやく喋るのをやめた。
今度は音ひとつしない。バンドのメンバーはじっとこっちをみていた。