記事一覧

2016年06月23日

 嫌なものを集める

 おそらくは死体を模した人形なのだろう。
 そこには元々ウジのようなものが1体住んでいる。
 人形が私の元へ来たことによって、内部で何らかのカウントが進んだのか、なんなのか。ともかく住んでいたそれは黒く固くなりぽろりと落ちる。そして、新たなウジが生まれた。
 黒くなった先代と、まだ新しい白いそれのコントラストは美しいわけでもなく気持ち悪いだけなのだが、世代交代であるとか、生まれ変わりの象徴のようだとは何となく思う。と、新しい白い方が意外な速さで這いだした。目を離すと見失ってしまいそうになる。入れ物を探すが、適切なものがない。かといって手の中で動くのを想像すると、絶対に掴みたくはない。なんとか行き先をコントロールして時間を稼ぎながら、とりあえずガラスで出来たビンのようなものをかぶせて胸をなでおろす。
 これから、この人形からは際限なくウジが湧いてくる。これを、5体集めなければならない。5体集めて適切な処理をしないと、部屋は大変なことになるだろう。

2016年01月15日

 猫への想いが昂じると、決まって子猫を飼って超苦労する夢を見る。

2015年07月01日

 迷子のムササビだかモモンガだかを保護する。
 老齢で、7キロもある。抱いているだけで腕が疲れてくる。
 キュウキュウと、寂しげに鳴いている。
 やがて飼い主が現れた。動物と同じように老齢だ。
 動物も気付いて、そこへ飛ぼうとしているのか頭の上に登ろうと暴れだす。
 もっと飛びやすいように、馬跳びのように屈んでやる。
 よたよたと背中に登っていくが、重い。
 それでもなんとか、背中を蹴って、飼い主の元へ飛んでいき、鳴き止んだ。
 寄り添い合っているその様子がなんとも気持ち悪い。
 やり場のない苛立ちで目が覚める。

2008年06月02日

ハチドリを捕まえる

花の蜜を食べているハチドリがいる。
捕まえられるはずがない、と思いながらも手を伸ばすと、
案外ハチドリはあっさり捕まった。
片手で、潰さないようにそっと握る。
手の中に納まってしまう、消そうと思えば消せる命。
それに気付いて、唐突に私は胸が熱くなる。

2008年03月19日

 5人の少女が工場のようなところでくすくすと笑いあいながら歩いている。引率が居なくてちょっと気の抜けた社会科見学といった雰囲気。肉の加工工場のようでガラスの向こうには赤いひき肉のようなものが機械から押し出されている。

 やや広い空間に出た。照明はオレンジがかっていて薄暗く、レトロ。切り取った古い写真のような光景は、けれども異常で、2階半くらいの高さからひとりの少女が飛び降りた。地面は校庭のように固そうだが、特に怪我をした様子もない。
 上を見上げ、下を見下ろし笑いあっている。他の少女達も飛ぶのだろう。

 ひとりひとりが乗れる寝台のようなものがベルトコンベアに設置されている。それに横たわって少女達は生産ラインに乗り、順に加工されていく。
 太ももから下はひき肉になる。
 残った部分から腰の辺りまでのパーツは、その需要の為に加工される。腰から太ももまでのパーツがずらりと並んで流れてゆく。

 残った上半身は隣の少女と目配せをしてはくすくすと笑いあっている。
 ベルトコンベアはまだ先へと続いている。

2007年12月26日

 親しいひとと、ひかるという女の子の自殺の原因はなんだったのだろうという話をしている。

 明治くらいの古い、けれども大きな和洋折衷の建物。
 私はカラスが2階の窓から中に入ろうとしているのに気付いて、中庭を挟んだ反対側の廊下から見ている。
 カラスは中までは入らずに、窓の隙間から室内を見て人がいるとわかったのか飛び立っていく。
 誰がいるのかと見ると、ひかるの両親が立っていた。ふたりで私の足元の1階廊下を目を見開いて見ている。
 すぐ足元からガラスの割れる音。
 正面でひかるの両親が何事かを叫んで部屋を出た。1階に向かったようだ。
 何が見えたのかと思い、先ほどカラスが入ろうとしたひかるの両親のいた部屋へ行き1階を見下ろすと、ひかるがまさに老人の首を割れたガラスで切っているところだった。
 普段は清楚な感じのするひかるがすごい形相をしている。鬼気迫る、とはこのようなことを言うのだろうか。
「よくも私に辱めを」のようなことを叫んでいる。
 私に気がつくこともなく、両親が間に合うこともなく、ひかるはそのままガラスで自分の首を切った。

 ああ、これが原因だったのかと思い至る。
 このことをさっきひかるの死について話していた人に話しに行こうとすると、いつの間にか床一面に割れたガラスが散乱している。
 裸足。ガラス。ひかる。

2007年12月03日

 虹鱒や金魚、魚だらけのフロアー。
「虹鱒は久々に見た」と言うが返事はない。
 そこは百貨店なので色々なものが売っている。
 プラモデルも売っている。
 やけに蛍光灯が薄暗く不安になる。

2007年11月07日

 教室の中心に洗われていない体操着や、使い古された教科書類、鞄など様々なものが積み上げられている。以前の3年生が使っていたものだ。卒業式から休みの間中放置されていたようで、汗のような匂いがきつく漂っている。
 新しい教室で、新しいクラスメート達と共にそれを見つめる。誰も何もしようとしない。

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 そこで知り合った同級生の女の子2人と小さめのホールへ。4人で構成されているバンドがステージにおりカントリー調の曲を軽快に演奏しているが室内は明るくガラガラ。客は10人程しかいない。
 女の子2人には通訳のような、ヘッドセットをつけたガイドのような外国人がついた。ふたりと一緒に来た自分にはつかない。
 女の子はなにかをその通訳に話し、それに外国人は答えるのだが、その声が演奏と同じように場内のスピーカーを通して聞こえる。その声は演奏が聞こえないほどに大きい。
 片方の外国人がひとしきりしゃべり終わって、ようやく演奏だけが聞こえるようになったかと思ったら、今度はもう一人が喋りだした。とても聴けたものじゃない。
 まずドラムが手を止めた。それに伴ってアコギを持って歌っている女性シンガー以外は手を止めていく。
 ペラペラと流暢に話す外国人と、ギターソロになった女性シンガーの歌声だけがしばらく響く。
 やがて諦めたように、曲の途中で演奏が止んだ。外国人はそれを察してかようやく喋るのをやめた。
 今度は音ひとつしない。バンドのメンバーはじっとこっちをみていた。

2007年05月21日

 黒柳徹子が薄暗い部屋で牡蠣のオムレツを作っている
 縞々のところを焼くのがポイントだと徹子が言う
「ちょっと贅沢な休日の午後」というナレーション
 できあがったオムレツを、薄暗い部屋で徹子は一人で食べる

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